幻想的なサンゴ礁。美しい熱帯魚。巨大な鯨。ユーモラスな魚。不気味な海底。

水中写真の第一人者、中村征夫氏の撮影した水中写真は視点、技術力、芸術性の

高さで海の神秘、厳しさ、恐怖、海中生物たちの尊い命や様々な愛の形を伝えます。

世田谷町田地域教育懇談会の主催で和光小学校にて開催された中村征夫氏の講演会

「サンゴの海から~いのち・平和を考える」を聴講して美しい水中の写真に魅了されながら

海の中の弱肉強食、食物連鎖、生命の神秘、尊さ、人間たちの環境破壊をあらためて

知りました。また科学的な解説も多く、珊瑚が動物だったというのも意外で大変勉強になりました。

珊瑚は元々白い色ですが褐虫藻という藻類の一種が体内に取り込まれ様々な

色に着色されるそうです。褐虫藻は光合成を行い宿主の珊瑚に栄養と酸素を与えて

いるのだとか。しかも珊瑚の酸素使用量を上回る酸素生産量があるため、海中や

海上に大量の酸素を放出しているのだそうです。海洋生物の共棲とそれがもたらす

地球資源への恵みに驚きと感謝の念を感じました。また、光合成を行うには太陽光線が

必要なのですが、テーブル珊瑚が成長して大きくなると文字通り丸テーブルの

ようになり下にいる枝珊瑚の日照権を奪ってしまいます。そこで下の枝珊瑚は触手を伸ばし

テーブル珊瑚の邪魔な部分を溶かしてしまうそうです。珊瑚同士にもそのような生存競争が

あったとは驚きでした。

そして地球温暖化によりこの珊瑚は徐々に死滅しているのだとか。珊瑚を食べるオニヒトデも

増殖しているのだが、この増殖原因もオニヒトデを餌にする法螺貝を人間たちが乱獲したから

だと、言うのです。また珊瑚たちに新種の奇病が発生しはじめているのですが、その原因は

汚染物質を食べたプランクトンを珊瑚が食べてしまうからなのだそうです。汚染物質はもちろん、

人間の排出した下水などに含まれていますが人間もまた同様に汚染されていると言うことです。

自然界に人間が侵食すると生態系が大きくバランスを崩してしまうという事実を中村征夫氏は

自身が撮られた美しい写真を投影しながら彼自身の言葉により分かりやすく、しかも説得力のある

解説を行われ、それが強烈な文明批判にも成りえています。

また氏は長年の経験から取材時にはいかなる場合でも自然界の魚類、動物たちには

一切、干渉しないのだとか。例え怪我を負ったり病気の動物がいても助けないのだそうです。

それは自然界の弱肉強食の掟を破る事になるから。弱い物を救ってしまうと、いずれその

種全体が弱ってしまいかねない、種全体を強くしていくためには犠牲が必要なのだと。

またその犠牲により別の種族が食料を得て生命を保っていくのだ、と氏は語りました。

自然界には無駄になる物は一つもないのだ、と。

ところが人間達は食べ物を粗末にし平気で残してしまう。これでは食材になった魚類や
動物たちも無念だろうと結びました。

これ以外にも興味深い話や体験談を聞く事が出来き、大変、有意義な講演会でした。

中村さんのファンにもなり体験談を元に書かれた自叙伝「半漁人伝」も会場で購入させて
いただき、その本にサインもお願いしてしまいました。
企画、運営された懇談会メンバーの皆様、本当にありがとうございました。

 

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