永福町の住宅街に佇む異色の蕎麦屋「黒森庵」。その名を初めて目にした時、ドイツの
有名なシュヴァルツヴァルト=黒い森にちなんでいるのかと思いました。しかしネットの記事
を読みすすむと、ここのご主人がかなりの自転車マニアだと判明。その瞬間、私の頭の中
で火花がスパークしました。(笑)
「クロモリかっ!!!」 なんと洒落たネーミングでしょう。自転車マニアなら聞いて気分が
高揚してしまうほど高貴な名称です。最近は新素材のチタンやカーボンファイバーなどに
押され、昔ほどステイタスではなくなりましたが、いまだに採用している高級自転車も多い
高級素材クロームモリブデンの略称です。その名を使うとは、ここのご主人、洒落者です。
いえ、実は何とも異色の経歴をお持ちの方なのです。

ご主人の加藤氏はある個性派の名優の息子さんとして生まれました。
そして、以前から蕎麦業界に留まらず、工業デザイン業界でもその名を轟かせた異才です。
イタリアカーデザイン界の巨星ジョルジェット・ジウジアーロ率いるカロッツェリア(デザイン工房)
「イタル・デザイン」社でカーデザイナーとして活躍、帰国後、ソニーでグッドデザイン賞に
輝くテレビモニター、「プロフィール・プロ」をデザインし、その後、脱サラ。そして蕎麦打ちの

修行を積まれ出張蕎麦職人として腕を磨きつつ、片や手作り高級アンプの製作販売や
紙スピーカーの製作をされていました。そして、ついに2年前、この「黒森庵」を杉並区
和泉3丁目のご自宅で開業されたのです。最寄駅は井の頭線、永福町駅です。

ご自宅で開業されたので、当然、店は住宅街の中にあります。しかし住宅街の中といっても
迷うほどの道ではなく、意外に簡単に見つかりました。行列も出来ているのでそれが目印に
なっていました。(笑)

 

車を近所のコインパーキングへ停め、行列に並びます。サイクリストの間でも話題らしく
高級なロードスポーツで訪れる客も多いようで、自転車用のスタンドが玄関脇に設置
されていました。1時間ほど並び、ようやく店に入ることができました。

店内はモダンなカフェのよう。ジャズが流れていて蕎麦屋とはまったく雰囲気が異なります。

 


蕎麦は話題になっている「イタリアの赤もり」をお願いしました。
トマトソースをベースに南部赤鶏挽肉やパンチェッタが入った真っ赤なもり汁です。
しかし普通のそばつゆも付いてきますので普通のもり蕎麦として食べることも可能です。
蕎麦は石臼でひいた自家製粉の十割生粉打ちです。つんと香り高く細打ちの蕎麦。
やや硬めですが喉越しの良い蕎麦でした。ややあっさりした味なのでトマトソースでも
合っている気がします。でも賛否両論になるでしょうか。私は意外に美味しいと思いました。
でも、ちょっと量が少ないですね。竹やぶほどではないですが。(笑)
食後に煮豆が出ましたが、これが柔らかくて甘く、美味しかったです。
 
 


帰り際にご主人と短時間ですがお話させていただきました。同じ業種にいらっしゃった方
ですし、氏のデザインしたテレビを昔、所有していたので親近感があったのです。
初対面でしたが気さくな方で私の質問にも気軽に応えていただきました。しかし、お話して
いる間になんと意外な事実が判明。加藤さんは出張職人時代に我が社の社員食堂に
蕎麦を出した事があったそうです。あるイベントの際に1日だけだったそうですが・・・。
驚いてしまいました。
 
下の画像は昔、私が持っていた加藤さんデザインのモニターテレビの取扱説明書。
本体は廃棄しましたが、これだけは残っていました。(笑)
 
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